水口結貴 消費者問題研究会 | 日記 | 「荷受け代行」バイト被害が増加

NHK総合、NHK教育テレビ(Eテレ)にも出演。消費者問題の第一人者。

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水口結貴 消費者問題研究会 の日記

「荷受け代行」バイト被害が増加

2016.11.05

こんにちは。消費者問題研究会です。

最近、全国で「勝手に自分名義で契約されたスマートフォン」とは知らず、自宅に届いた荷物を着払いで転送する「荷受け代行」アルバイトの被害が、相次いでいます。

このようなバイト代は1件につき「2千~5千円」という場合が多いようです。
その後にスマホの「解約」と「多額の違約金」などを請求される、というケースが多いようです。

 ●「荷物転送するだけ」としてツイッターなどで拡散被害の実態

「自宅でできる気軽なアルバイト」として、ツイッターなどで拡散しました。
「荷物転送」とも呼ばれていたようです。
被害者らによると、手口は以下のようなものでした。

無料通信アプリ「LINE(ライン)」で指定のIDにメッセージを送ります。
すると、自称「仲介者」という人物から、返信がきます。内容は「仕事は“仕入れの手伝い”、であり“お金はかかりません”などと、書かれているようです。
さらに、氏名・住所、生年月日、電話番号」などの個人情報のほか、「アルバイト料振込先」のためとして「口座番号」を確認されたり、「高額な荷物もある」として、住所が確認できる写真付き身分証明書の画像の送信を要求されたようです。

 ●被害の実態

こうした連絡があった数日後、格安スマホの事業者(MVNO)から、自宅に約20センチ四方の小荷物が届き始めました。
中身は「電子機器」で、開封しないまま「神奈川県の特定の場所に転送」するよう指定されていたようです。そして約1週間後にアルバイト料が振り込ました。

 ●個人情報が、スマホ契約に使われていた

そしてしばらく(数週間後など)すると個人情報を使われていて「自分名義でスマホが契約」されたとわかる、ようです。
事業者から次々と契約書類が届き解約を申し出ると、違約金や機種代など契約数に応じて数万~約100万円を請求されるようです。
警察から「被害者は事業者」と言われ、被害届を受理されない例もあったようです。

●勝手に「格安スマホ」が契約されていた

国民生活センターの発表によれば、こうしたアルバイトは主にSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じて募集が行われているようです。
仕事の依頼者が提示した「荷物を送るだけで1回数千円の報酬が得られる」という魅力的な条件に興味を持ち、アルバイトを申し込むと、氏名・生年月日・連絡先・報酬の振込先口座といった情報の他に、運転免許証や健康保険証といった身分証明書の画像を送るようにめられます。

格安スマホ・格安SIMを提供する通信会社では、大手の通信会社のような店舗網を構えていないところも多く、そのため、新規契約の手続きはウェブサイトからの申し込みが主流のようです。24時間いつでも自宅から申し込めるのが、格安スマホや格安SIMの利便性の一つと言えるかもしれません。

●悪用された「メリット」

ところが、今回注意喚起された事例では、このメリットが悪用されています。
携帯電話の犯罪利用を防止するため2005年に制定された「携帯電話不正利用防止法」に基づき、携帯電話の契約時には本人確認のために身分証明書を提示しなければなりません。

格安スマホや格安SIMも同様で、オンラインで契約を申し込む場合、申し込み専用のフォームに個人情報を入力し、最後にデジタルカメラやスマホで撮影した身分証明書の画像をアップロードする流れとなります。オンラインから格安スマホや格安SIMの契約を申し込む場合には、身分証明書の画像さえ手に入れば、別人になりすまして契約ができてしまいます。

オンラインで申し込んだ場合、端末やSIMカードの送付先は契約時の住所に限られます。例えば、格安SIMサービスの「U-mobile」を提供するU-NEXTでは、「本人確認書類で証明された住所以外に(SIMカードや端末を)届けないことで、悪用を防ぐ」ため、送付先を契約時の住所に限定している、ということです。
こうした対応が、格安スマホや格安SIMの不正入手を試みる上で、最大かつ最後の障壁となっています。

しかし、「荷物転送のアルバイト」を装うことで、この壁も崩されてしまいました。
通信会社からの荷物を転送するように指示すれば、格安スマホや格安SIMの入った荷物を、そうとは知られずに別の住所へ送ることができるのです。
 
●「知らずに契約していた」格安スマホが犯罪に使われる可能性も

国民生活センターによれば、不正に契約された格安スマホや格安SIMは、犯罪に使用される可能性がある、といいます。
こうした事態を受けて、通信会社側も対策に乗り出しています。
 

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