水口結貴 消費者問題研究会 の日記
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SNSで勧誘する「悪質起業セミナー」被害が多発
2016.11.03
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こんにちは。消費者問題研究会です。スマホの普及とSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の利用者が多くなったことで、新しい手口が生まれているようです。
若者が「SNS]を通じて知り合った相手から「起業家育成セミナー」に勧誘され、 高額の受講料を請求されてトラブルになる事例が多く起こっています。
こうした「起業家育成セミナー」は、受講料は高額ですが「内容が乏しい」場合が多いようです。
中には、「消費者金融から借金」をしてまで、受講料を支払わされるケースもあるようです。学生なので「定職に就いていない」ことを理由に借金ができない場合は、実際は働いていないのに勤務しているように装って在籍の問い合わせに応じたり、偽の源泉徴収票を発行したりする「アリバイ会社」の利用を勧める場合もあるようです。
国民生活センターによると、SNSで知り合った相手に起業家や経営者向けなどのセミナーに勧誘されたとする全国の18~24歳からの相談は、下記のように増加しています。
09年度19件
10年度34件
11年度59件
12年度100件
13年度102件
14年度110件
15年度128件
そして2016年度は、83件に上っています(9月27日現在)。
09年度から現在までに払われた受講料の総額は約2億5500万円に上っています。
1人当たり平均額は約50万円ということです。こうした「起業家育成セミナー」は、具体的な起業の方法や経営知識を学ぶ講義とは程遠く、中には占いが中心の内容もあるようです。
相談は首都圏や大阪、福岡など大都市圏に集中しています。こうした会社を相手に裁判を起こす例も出たようです。
福岡県内の予備校生たち6人は、2015年9月と2016年3月にセミナーへの勧誘を受け、多額の受講料をだまし取られたなとして、セミナー運営会社を相手取り総額約730万円の損害賠償を求める訴えを福岡地裁へ起こしました。
福岡地裁は「組織ぐるみで詐欺行為をした」として、会社とその経営者らに全額を支払うよう命じました(2016年9月30日付)。
国民生活センターの担当者は、「若者の社会経験の乏しさや起業への憧れにつけ込んだ行為」と指摘します。
そして「勧誘をうのみにせず、家族などに相談し、支払い能力を超えた借り入れはしないでほしい」と訴えました。
同時に「若者の消費者トラブルは昔からあるが、勧誘の場は大学のサークルなどが多かった。SNSの普及で勧誘方法が変化している」と警鐘を鳴らしています。